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無題
Name 名無し 24/01/18(木)23:20 No.65277
石ノ森章太郎の件に関してだと、 まだ若い頃、「石森章太郎」時代に実験的な作品として、『ジュン』 という全編にわたってほぼセリフの無い作品を連載してたんですよ。 登場人物の表情や動作だけでなく、コマの配置や、読者のページ上の 目線の流れで、出来事を表現していく野心作で、物語らしい物語も 無いままに、丁寧に描かれた風景と、そこにいる主人公ジュンの 姿を見せるだけで、詩情豊かな世界感を作り上げていました。 ところが、当時は起承転結がはっきりしたストーリー漫画が当たり前。 それを極めようと悪戦苦闘していた手塚治虫としては、そんなモノを 認めるなんて言語道断! 「あんなものは漫画ですらありません」となるわけです。
で、ここからは色々な説がありまして……
1)『ジュン』を読んで「けしからん!」と憤慨した手塚が 石森の家まで行って、本人に「君、あんなのは漫画と 呼べない!」と文句を言ったが、のちに手塚はその手法を 自分の作品に取り入れ、石森を喜ばせた。
2)手塚のファンが手塚へのファンレターに「石森先生の『ジュン』も 好きです」と書いたのを読んだ手塚が「ああいうのは漫画とは 別のものです」と返事を出してしまい、それが石森の耳に入り、 尊敬する手塚から全否定されたショックで「連載をやめる」と 言い出し、編集者からそれを聞いた手塚が驚いて石森の家まで 慌てて駆けつけて謝罪した。
3)話題の実験的作品を漫画の神様はどう見るか、マスコミが手塚に 取材したところ、「あんなものは漫画ですらありません」と 一刀両断。もちろん石森はそれを知って大ショック。手塚と 会わないように避けて過ごしていたが、何年も経ってから、 とある立食パーティーで偶然顔を合わせてしまい、よせばいいのに 同席者が2人の前で『ジュン』の手塚評の話題を持ち出した。 石森が「また否定されるのか」と思っていると、手塚は笑顔で 「あれは僕の嫉妬だった。悔しかったんだよ」と説明して謝罪。 「神様を嫉妬させた男」として石森の存在が話題になる。
……等々、いろんなパターンのエピソードがあります。 手塚治虫が嫉妬しやすいのは身近な者の間では有名で、 それを創作のエネルギーにしていたようです。 一番になることにこだわり続けた人だったようです。 |